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屋根の上は、ぼくの秘密基地だった

屋根の上は、ぼくの秘密基地だった
朝、目を覚ますと、障子越しの光がやけに明るかった。
外に出ると、世界が真っ白に塗り替えられている。

あの瞬間の胸の高鳴りは、今思い出しても不思議なくらい鮮やかだ。

昭和の冬。私がまだ小学生だったころ、雪はただの厄介者ではなかった。
家は平屋建て。子供が屋根に上っても、今ほど神経質に心配される時代ではなかった。

もちろん危険はあったのだろうが、あの頃の大人は「気をつけろよ」の一言で、私たちを信じてくれていた。

隣は畑。柵を伝い、納屋の屋根を足がかりにして、我が家の屋根へとよじ登る。
今考えればずいぶん無茶だが、当時の私はそれを“冒険”と呼んでいた。

屋根の上から見る町は、いつもより広く、静かで、少し誇らしかった。

雪をスコップで押し出すと、どさりと大きな音を立てて落ちる。
その音が面白くて、わざと勢いをつけたりもした。

「気をつけるのよ!」と下から母の声。
どこか嬉しかった。見守られているという安心感があったのだろう。

雪下ろしは重労働だったはずなのに、なぜあんなに楽しかったのか。
きっと、家族の役に立っているという小さな誇りがあったからだ。

あの白い屋根の上で感じた風の冷たさと、自分の中の小さな勇気。
あれは、確かに私の原点だった。

明るい気持ちになる言葉
あの頃の勇気は、今も心の中にある

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