今日の出来事などを

何も入っていない白い餅 ― いちばん素朴で、いちばん贅沢

具の入っていない白いお餅は、一見地味だった。でも、焼いて醤油をつけ、海苔で巻いた瞬間、主役に変わる。その変化がうれしかった。香ばしさと磯の香りが混ざると、胸がいっぱいになる。飾らなくてもおいしい。足さなくても満たされる。そんなことを、白い餅...
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よもぎの香りと冬の夕暮れ ― 緑色の記憶をかじる

よもぎ餅の香りは、どこか土の匂いを含んでいた。外は雪景色でも、よもぎの緑を見ると春を感じる。不思議な安心感があった。石炭ストーブの赤い火と、よもぎ餅のやわらかな緑。色の対比まで、今も鮮やかに思い出せる。子どもの頃は気づかなかったが、よもぎを...
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豆餅と兄妹げんか ― ひとつ多く食べたい冬の攻防戦

豆餅は特別だった。ゴロゴロと入った豆の塩気がたまらなく好きで、焼けるのを待つ時間がもどかしかった。兄妹で数を数えながら、「どれが一番大きいか」と目を光らせる。少しでも大きいものを取りたい。そんな小さな欲張りが、冬の台所をにぎやかにしていた。...
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石炭ストーブの上の小さなごちそう ― 昭和の冬、餅がふくらむ音を待ちながら

石炭ストーブの上で焼けるお餅の匂いを思い出すと、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。冬の冷たい空気の中で、あの香ばしい匂いはまるで小さな幸せの合図だった。ぱちぱちと石炭がはぜる音、じりじりと焼ける餅の膨らみ。あの時間は、ただ待つだけなのに、ど...
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雪の日は、心まで真っ白になれた〜汚れた心も、きっとリセットできる〜

夕方、家に帰るころには全身びしょ濡れ。叱られると分かっているのに、なぜか満足感でいっぱいだった。楽しかった。ただ、それだけ。あの頃は、明日のことなんて考えていなかった。将来の不安も、仕事の悩みもない。今、同じ雪景色を見ても、まず交通状況を心...
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銀世界は、子どもを冒険家に変える〜怖さの向こうにワクワクがある〜

いつもの通学路が別世界。田んぼも畑も、区別がつかない。白い世界は、未知への入口だった。ドキドキ。少しの怖さ。それ以上の好奇心。「ここ、本当に歩いていいのかな?」雪の下は水路かもしれない。でも、誰も止めない。大人も細かいことは言わない時代だっ...
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竹ストックが教えてくれた不器用な強さ〜完璧じゃない道具が、最高の宝物〜

竹を削って作ったストック。手に持つと少しトゲが刺さる。既製品じゃない。父が作ってくれた、世界に一本だけの相棒。誇らしさと、ちょっとした照れくささ。友達の中には市販のスキーを持っている子もいた。正直、少し羨ましかった。でも不思議なことに、竹の...
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長靴スキーは最強の翼だった〜転んでも笑えば、それが冒険〜

朝、障子の向こうがやけに明るい。胸がざわつく。布団から飛び起き、窓を開けた瞬間――真っ白。音のない世界。息が白く、胸の奥まで冷たい空気が入り込む。「やった…!」と叫びたくなる高揚感。雪の日は、学校さえも遊園地に変わる魔法の日だった。今日は授...