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冷たい水と母の背中

冷たい水と母の背中
冬の台所は、とにかく冷えた。
土間に近い流し場では、水道をひねると、手が痛くなるほど冷たい水が勢いよく出た。

そんな場所で、母は文句一つ言わず、師走になると大根洗いを始めた。
袖をまくり、前掛けを締め直し、黙々と作業を続ける後ろ姿が、今もはっきりと思い浮かぶ。

私はストーブの前で丸くなりながら、時折母の方を見ていた。
洗い終えた大根をザルに並べ、一本ずつ紐を通していく指先は、寒さでかじかんでいるはずなのに、驚くほど器用だった。

母は「寒いねえ」と小さく言いながらも、どこか楽しそうで、その表情には、冬仕事への誇りのようなものが感じられた。

こうして仕込まれた干し大根は、家族の冬の食卓を支える大切な保存食となる。
スーパーに行けば何でも買える時代ではなく、家で作ることが当たり前だった頃、母の手仕事は生活そのものだったのだと思う。

今、便利な暮らしに慣れ、あの冷たい水の感触を思い出すたび、胸がきゅっと締めつけられる。

それと同時に、あの背中に守られていた安心感が、今も自分の中に生きていることを、静かに噛みしめている。

明るい気持ちになる言葉
「誰かのために動く時間は、いつまでも心を支えてくれる」

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