今日の出来事などを

木の校舎が教えてくれたこと

木造校舎の記憶をたどっていると、不思議と胸の奥がやわらかくなる。あの校舎は決して新しくはなかった。床には傷があり、窓枠の塗装もところどころ剥げていた。でも、だからこそ温かみがあった。長い年月をかけて、たくさんの子どもたちの声や足音を受け止め...
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笑い声がはじけた教室

掃除のあとの教室は、いつもより少し静かで、でもどこか満ち足りた空気が流れていた。ほうきを片付けたあと、窓際に集まって外を眺めながら、他愛のない話をした時間を思い出す。好きなテレビ番組の話、給食の話、週末の予定の話。内容はとても小さなことなの...
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窓ガラス越しの冬の光

今日は、クラスのみんなで窓ガラスを拭いていた日のことを思い出した。冷たい水に雑巾をひたし、ぎゅっと絞ると手がじんと痛くなる。それでもなぜか楽しくて、友達と水しぶきを飛ばし合いながら笑っていた。窓を拭くと、くもっていた景色がすうっと透明になり...
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木の廊下に響く足音

ふとした瞬間に、遠い昔の記憶というのは不思議なくらい鮮やかによみがえるものだ。今日はなぜだか、小学校の長い木造校舎の廊下を歩いている自分の姿が、心に浮かんだ。あの廊下は、歩くたびに「きゅっ、きゅっ」と優しい音を立てていた。きれいに掃除された...
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煙の向こうにあった、あたりまえの幸せ

夕方になると、母の「そろそろ帰ってきなさいよ」という声が遠くから聞こえてきました。その声と一緒に漂ってくるのが、やはり焼き魚の匂いでした。私は遊び足りない気持ちを抱えながらも、その匂いに背中を押されるように家へ向かう。家に入ると、ちゃぶ台の...
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路地裏の小さな待ち伏せ

近所の魚屋さんが店先でさんまを焼く日がありました。その日は路地の空気がいつもより賑やかになります。子どもたちは匂いにつられて集まり、大人たちは「いい匂いだねえ」と立ち話を始めるのです。私は友だちと一緒に、少し離れた場所からその様子を眺めてい...
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さんまの煙と、帰り道の空

夕暮れが早い季節になると、学校帰りの空はすでに薄紫色に染まっていました。電柱の影が長く伸び、足元の砂利道がかすかに光って見えたものです。その道を歩いていると、どこからともなく漂ってくるのが、焼き魚の煙でした。七輪の炭がはぜる音、脂が落ちて立...
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路地に漂う、夕暮れのごちそう

昭和三十六年の冬の夕方、あの頃の路地には、どの家からも晩ごはんの支度の匂いが流れ出していました。今のように密閉された家ではなく、木の引き戸や少し隙間のある窓から、湯気と一緒に生活の気配が外へこぼれていたのです。味噌汁の湯気、煮物の甘い香り、...