今日の出来事などを

木の廊下に響く足音

ふとした瞬間に、遠い昔の記憶というのは不思議なくらい鮮やかによみがえるものだ。今日はなぜだか、小学校の長い木造校舎の廊下を歩いている自分の姿が、心に浮かんだ。あの廊下は、歩くたびに「きゅっ、きゅっ」と優しい音を立てていた。きれいに掃除された...
今日の出来事などを

煙の向こうにあった、あたりまえの幸せ

夕方になると、母の「そろそろ帰ってきなさいよ」という声が遠くから聞こえてきました。その声と一緒に漂ってくるのが、やはり焼き魚の匂いでした。私は遊び足りない気持ちを抱えながらも、その匂いに背中を押されるように家へ向かう。家に入ると、ちゃぶ台の...
今日の出来事などを

路地裏の小さな待ち伏せ

近所の魚屋さんが店先でさんまを焼く日がありました。その日は路地の空気がいつもより賑やかになります。子どもたちは匂いにつられて集まり、大人たちは「いい匂いだねえ」と立ち話を始めるのです。私は友だちと一緒に、少し離れた場所からその様子を眺めてい...
今日の出来事などを

さんまの煙と、帰り道の空

夕暮れが早い季節になると、学校帰りの空はすでに薄紫色に染まっていました。電柱の影が長く伸び、足元の砂利道がかすかに光って見えたものです。その道を歩いていると、どこからともなく漂ってくるのが、焼き魚の煙でした。七輪の炭がはぜる音、脂が落ちて立...
今日の出来事などを

路地に漂う、夕暮れのごちそう

昭和三十六年の冬の夕方、あの頃の路地には、どの家からも晩ごはんの支度の匂いが流れ出していました。今のように密閉された家ではなく、木の引き戸や少し隙間のある窓から、湯気と一緒に生活の気配が外へこぼれていたのです。味噌汁の湯気、煮物の甘い香り、...
今日の出来事などを

みんなで過ごした教室

あの教室には、たくさんの思い出が詰まっていました。授業の失敗も、友達とのけんかも、そして放課後の掃除当番の時間も、全部が混ざり合って、今の私の宝物になっています。ほうきを動かしながら、友達の将来の夢を聞いたこともありました。大工になりたい子...
今日の出来事などを

帰り道の青い空

掃除が終わる頃には、外はもう薄暗くなりかけていました。冬の北海道の日暮れは早く、空は群青色に染まり、吐く息は白く長く伸びました。ランドセルを背負い、長靴で雪を踏みしめながらの帰り道も、掃除当番の日は特別な気持ちがしました。「今日はピカピカに...
今日の出来事などを

雑巾しぼり競争

掃除当番の中でも、いちばん賑やかだったのは雑巾がけの時間でした。水道は廊下の端にあり、冬は水が氷のように冷たく、指先がすぐ真っ赤になりました。それでも私たちは、その冷たささえ遊びにしていました。「誰がいちばん強くしぼれるか競争だ!」と始まっ...