今日の出来事などを

白いスクリーンと、あの夏の笑い声

昭和36年。あの頃の夏は、今よりもずっと濃くて、ずっと近かった。町内会が用意した大きな白いスクリーンが、空き地にどんと立てられた日のことを、私は忘れない。風に揺れる布の音が、どこか誇らしげだった。家からゴザを持ち出し、妹と弟の手を引いて向か...
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帰り道の夜風と、少しのさみしさ

楽しい時間は、どうしてこんなに早く終わるのだろう。提灯の灯りが少しずつ消え、人の声が遠ざかっていく。さっきまで賑やかだった空き地が、静かになっていく。父と並んで歩く帰り道。下駄の音だけが、夜に響く。楽しかったはずなのに、胸にぽっかり穴があく...
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くじ引きで当たった小さな宝物

祭りの楽しみは、くじ引きだった。何が当たるか分からない、あのドキドキ。箱の中に手を入れると、世界中の運命が詰まっている気がした。結果は、大きな景品ではなかった。小さなプラスチックのおもちゃ。それでも、私は心から嬉しかった。「当たった」という...
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釣って、笑って、また釣って。最高に騒がしい夏の思い出

友だちと落ち合う約束はしていないのに、必ず会えた。それが町内会の夏祭りだった。「おーい!」とどこからか声がして、振り向けばクラスメイト。なぜかみんな同じ場所に集まってくる。まず向かったのはヨーヨー釣り。紙のこよりが、いつ切れるか分からないス...
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提灯の灯りに胸が高鳴った夕暮れ

昼過ぎから、そわそわしていた。まだ明るいのに、心だけがすでに夕方になっている。町内会の夏祭りの日は、朝から家の空気が違った。母はいつもより手際よく夕飯の支度を済ませ、父は「今日は早く帰る」と珍しく約束して出かけていった。私にとってその様子は...
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心の奥に残った、肝油ドロップのブリキ缶

ブリキの缶は、もうどこにもない。捨てた記憶すら、残っていない。気づいたら、なくなっていた。それでも、形は覚えている。少しくすんだ色、丸い縁、蓋を開けるときの、あの音。あの缶は、特別なものではなかった。でも、確かにそこにあった。変わらず、同じ...
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一粒だけの肝油ドロップと、ブリキ缶

肝油ドロップは、たくさん食べるものではなかった。ブリキの缶の中にある数は決まっていて、一日に許されるのは、いつも一粒。もっと欲しいと思ったことも、きっとあったはずなのに、その気持ちは不思議と強く残っていない。代わりに残っているのは、一粒を大...
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夕方の家の音と、肝油ドロップのブリキ缶

ブリキの缶は、家の中の決まった場所にあった。棚の隅や、引き出しの奥。探さなくても、自然と手が伸びる場所。缶を開けると、家の音が重なって聞こえてくる。台所で何かを煮る音、遠くのテレビ、誰かの足音。それらは特別な音ではないのに、今ではもう、簡単...