
給食の時間が近づくと、教室の空気がどこか柔らかくなる。
あの独特の香りが、廊下の向こうからふわっと漂ってくるのだ。
その日のおかずは、マカロニサラダ。
アルミの食缶のふたを開けた瞬間、
ほんのり甘いマヨネーズの香りが教室いっぱいに広がる。
その香りを思い出すと、今でも胸が少し温かくなる。
子どもの頃の給食は、ただの食事ではなく、
毎日の楽しみだったのだと改めて思う。
今振り返ると、あのマカロニサラダはとてもシンプルだった。
マカロニ
きゅうり
にんじん
ハム
そしてマヨネーズ。
それだけなのに、どうしてあんなに美味しかったのだろう。
たぶん、友達と一緒に食べる楽しさや、
「今日は当たりメニューだ」という嬉しさが
味を何倍にもしていたのだと思う。
大人になると、豪華な料理はいくらでも食べられる。
それでも、あの給食の味には、なかなか出会えない。
給食当番が大きなしゃもじでサラダをよそる。
「多すぎるよー」
「もうちょっと入れて!」
教室のあちこちから声が上がる。
アルミのお皿に盛られたマカロニサラダを見て、
私は思わずにやけてしまう。
コッペパンと一緒に食べると、これがまた最高に美味しい。
パンにサラダを挟んで、
“即席マカロニサンド”にして食べるのも
当時の子どもたちの密かな楽しみだった。
「今日のサラダ、うまいな!」
隣の席の友達がそう言うと、私はうなずきながら答える。
「うん、給食のサラダってなんでこんなに美味しいんだろうね」
すると前の席の友達が笑いながら言った。
「家で作ると、なんか違うんだよな!」
教室には、そんな何気ない会話があふれていた。
明るい気持ちになる言葉:
思い出は、いつでも心を温めてくれる宝物。

