
竹を削って作ったストック。手に持つと少しトゲが刺さる。
既製品じゃない。父が作ってくれた、世界に一本だけの相棒。
誇らしさと、ちょっとした照れくささ。
友達の中には市販のスキーを持っている子もいた。
正直、少し羨ましかった。
でも不思議なことに、竹のストックを握ると負ける気がしなかった。
「あるもので楽しむ」それが当たり前だった時代。
豊かさは、物の数じゃなかった。
雪山を駆け上がる。
ストックを突き刺す。力いっぱい体を前へ押し出す。
転びそうになっても、竹が支えてくれる。
まるで父の手のようだった。
「それ手作りか?」
「うん、うちの親父がな」
「いいな、それ。かっこいいじゃん」
胸が熱くなった。雪の寒さなんて消えてしまうほどに。
明るい気持ちになる言葉:
手作りのぬくもりは、心を一番あたためる。

