
冬晴れの空を見上げたとき、不意に石炭ストーブの鉄の感触が、手のひらによみがえった。
直接触れれば火傷するほど熱いのに、少し離れると心地よい。
その距離感を、身体が自然と覚えていた。
昭和の下校道では、夕方になるとあちこちの家から、石炭を焚く匂いが漂ってきた。
白い煙が細く立ち上り、空に溶けていく。
その中に混じって聞こえてくる焼き芋屋の声は、冬の風物詩だった。
家に帰ると、ストーブの前に座り、焼き芋を割る。
湯気が立ち上り、炭の匂いと混じる。
火箸で石炭を動かす音、鉄がきしむ微かな音。
すべてが、昭和の冬の音だった。
今日の穏やかな気温は、あの厳しい冬を思い出させながらも、不思議と心を温めてくれた。
あの頃の寒さと引き換えに得た温もりは、今も確かに、胸の奥に残っている。
明るい気持ちになる言葉:
「厳しい冬ほど、温もりは深く残る」

