
午後が深まるにつれ、予報通り気温は下がり、北風は一段と冷たさを増した。
外に出ると、頬に当たる風が痛いほどで、冬が本格的に支配していることを実感する。
マフラーを巻き直し、手袋に手を入れると、身体だけでなく心まで守られているような気がした。
夕方の空は、昼の青から淡い灰色へと移ろい、冬特有の早い日暮れが近づいている。
文通をしていた彼女との縁は、いつしか途切れてしまったが、その事実を寂しいとは思わなくなった。冬の木々が葉を落としても、春に向けて力を蓄えているように、人との縁もまた、形を変えて心に残るのだと思えるからだ。
冷たい風の中を歩きながら、若い頃よりも多くのものを背負った今の自分を思う。
それでも、心の奥には確かな温度がある。
過去の思い出、積み重ねた日々、それらが静かに支え合って、今の自分を形作っている。
冬の夕方は、外の冷え込みとは裏腹に、内側の感覚を強く意識させる時間だ。
冷たさの中でこそ、温もりの存在がはっきりと感じられる。
そんなことを思いながら、夕暮れの空を見上げた。
明るい気持ちになる言葉
冷たさがあるから、温もりははっきりと感じられる。

