
雪下ろしを終えて家に入ると、台所から味噌汁の香りが漂ってきた。
冷えた体に、その湯気がどれほどありがたかったことか。
こたつに足を入れると、全身の力が抜ける。
「ご苦労さん」
母の何気ない一言が、胸にじんわり広がる。
あの頃は、特別なご褒美があったわけではない。
けれど、家族と過ごす時間そのものが、ご褒美だった。
今は屋根に上ることもないし、雪下ろしを楽しいと思う余裕も少なくなった。
それでも、あの白い屋根の上で見た景色は、今も私の中で輝いている。
昭和の小学生だった私は、無邪気で、少し無鉄砲で、でも一生懸命だった。
その姿を思い出すたびに、「まだやれる」と背中を押される気がする。
雪は冷たい。
けれど、その記憶は不思議と温かい。
あの冬の日々があったからこそ、今の私がある。
そう思えることが、何よりの幸せだ。
明るい気持ちになる言葉:
思い出は、人生を温める火種になる
