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提灯の灯りに胸が高鳴った夕暮れ

提灯の灯りに胸が高鳴った夕暮れ
昼過ぎから、そわそわしていた。
まだ明るいのに、心だけがすでに夕方になっている。

町内会の夏祭りの日は、朝から家の空気が違った。
母はいつもより手際よく夕飯の支度を済ませ、父は「今日は早く帰る」と珍しく約束して出かけていった。

私にとってその様子は、「特別な日が始まった合図」だった。

夕暮れになると、通りに提灯の灯りがぽつぽつと灯り始める。
その灯りを見るたびに、胸がドキドキした。

浴衣に着替えさせてもらい、少しだけ大人になった気分で家を出る。
下駄の音が、いつもより誇らしく響いた。

祭り会場は、歩いて数分の空き地。
普段は何もないただの広場なのに、この日だけは魔法がかかったように別世界になる。

香ばしく立ち上る焼きそばの匂い、舌を染めるかき氷の鮮やかなシロップ。
金魚すくいの水槽から響く涼やかな水音に、どこか懐かしい盆踊りのメロディが重なる。

どれもが胸に入りきらないほど、キラキラしていた。

まだ何もしていないのに、すでに楽しかった。
これから始まるという「予感」だけで、心は満たされていた。

あの頃、私は「待つこと」が好きだった。
楽しみを前にした時間が、こんなにも幸せだと知っていたからだ。

明るい気持ちになる言葉
「待つ時間は、いちばん幸せな時間かもしれない」

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