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笹の葉の青い匂いと、母の丸い背中

笹の葉の青い匂いと、母の丸い背中
昭和のあの頃、我が家のおやつは、買ってくるものではなく「作るもの」だった。
今日は、ふと笹の葉の青い匂いを思い出した。

母と、私(小学5年生)、小学2年生の妹、6歳の弟。
4人で家を出て、近くの線路わきまで歩いて行った。

電車が通ると、地面がかすかに震え、胸まで響いたあの感覚。
私は長男として、少し誇らしい気持ちで弟と妹の前を歩いていた。

線路わきには、背の高い草と一緒に、青々とした笹が揺れていた。
母は「きれいな葉を選びなさいよ」と言った。

私はなるべく大きくて傷のない葉を選び、妹は小さな手で何枚も抱え、弟はただ嬉しそうに走り回っていた。

家に帰ると、母は手際よく団子をこしらえた。
平らにのばした白い団子生地の中に、甘い餡を包む。

笹の葉で挟んで蒸し器へ。台所に立ちのぼる湯気とともに、笹の香りが広がった。

蒸し上がった団子は、ほんのり緑の香りが移り、しっとりとしていた。
ひと口かじると、餡のやさしい甘さが口いっぱいに広がる。

決して豪華ではない。でも、あの味は特別だった。

「おいしいね」と妹が言い、弟は口のまわりを餡だらけにして笑った。
母は静かに私たちを見ていた。私は、母の背中がいつもより少し小さく見えた気がした。

あの時、私は何も考えず食べていた。
でも今思えば、母は私たちのために時間をかけ、手をかけ、心をかけてくれていたのだ。

笹を取りに行く道のりさえ、家族の時間だった。
あの日の団子は、甘さだけでなく、母のぬくもりが包まれていたのだと思う。

明るい気持ちになる言葉
記憶のなかの景色が、今の私を優しく抱きしめてくれる。

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