
あの日のことは、今もはっきり覚えている。
いつものように川で遊んでいた。上級生たちも来ていた。
彼らは体も大きく、私たち下級生にとっては少し怖い存在だった。
「おい、潜ってみろよ」そう言われ、私は得意げに潜った。
水の中なら自信があった。息も長く続いた。
しかし、浮かび上がろうとした瞬間、頭をぐっと押さえつけられた。
苦しい。肺が焼けるようだった。
水の音が遠くなり、必死でもがいた。
やっとのことで顔を出したとき、上級生たちは笑っていた。
「大げさだな!」
私は笑えなかった。胸が痛く、心も痛かった。
その日を境に、私は水面を泳ぐことが怖くなった。
顔を上げて進むことができない。体が硬くなり、うまく浮けない。
潜ることはできる。けれど、泳ぐことができない。
子ども心に、ひとつの影が落ちた。
今思えば、あれは悪意というより無邪気ないたずらだったのだろう。
しかし、受け取る側の心には深い傷が残ることもある。
あの日、私は初めて「恐怖」というものを知った。
明るい気持ちになる言葉:
つまずきは、高く飛ぶための「助走」になる。

