
朝、障子の向こうがやけに明るい。
胸がざわつく。布団から飛び起き、窓を開けた瞬間――
真っ白。音のない世界。
息が白く、胸の奥まで冷たい空気が入り込む。
「やった…!」と叫びたくなる高揚感。
雪の日は、学校さえも遊園地に変わる魔法の日だった。
今日は授業なんて頭に入らない。休み時間は全部外だ。
長靴に無理やり履かせたスキー板は、正直サイズも合っていない。
でもそれでいい。
完璧じゃないからこそ、面白い。
「転ぶこと前提の楽しみ」
今思えば、あれは人生の縮図だったのかもしれない。
ランドセルを放り投げ、外へ一直線。
雪を踏む音がキュッ、キュッと鳴る。
竹で作られたストックを握り、坂へ突進。
滑る。転ぶ。埋まる。立ち上がる。笑う。
鼻水なんて気にしない。
手袋はびしょびしょ。それでも止まらない。
「おい!もっと上から滑ろうぜ!」
「無理だって!怖いって!」
「大丈夫だ、雪だから死なない!」
根拠のない自信。それが昭和の子どもだった。
明るい気持ちになる言葉:
転んだ分だけ、笑える思い出が増える。

