
ジンギスカンの夕飯は大好きだった。
でも、コロにあげるためには作戦が必要だった。
ぼくの胸はいつもドキドキしていた。
妹はよく人の皿を見る。
弟はすぐ真似をする。
だから、油断するとすぐバレる。
「どうすれば見つからないかな」
ぼくは小学生なりに真剣に考えていた。
まず肉を箸で持つ。口に運ぶ。
そして食べたふり。そのまま手の中へ。
妹が鍋を見ているすきに、
弟がジュースを飲んでいるすきに、そっと席を立つ。
玄関へ行く。
そこにはコロがいる。
「コロ、今日もあるよ」
ぼくが言うと、コロは嬉しそうに近づく。
肉をあげると、すぐ食べる。
「おいしいか?」コロは尻尾を振るだけ。
その時、家の中から弟の声が聞こえる。
「お兄ちゃん、早く来てー!」
ぼくは急いで戻る。
心の中では少し笑っていた。
明るい気持ちになる言葉:
小さな優しさは、毎日の中にひっそり隠れている。

