
外に出ると、空は澄みきった青だった。
風がなく、陽の当たる場所だけが、ほんのりと温かい。
こういう日は、父のことを思い出す。
多くを語らない人だったが、休日には黙って外に立ち、空を見上げていた姿が記憶に残っている。
父は、あまり感情を表に出さなかった。
褒めることも少なく、叱るときも短い言葉だけだった。
それでも、朝起きると必ず家にいて、夜になると必ず帰ってきた。
その当たり前が、どれほど大きな安心だったのかを、大人になってから知った。
番茶を飲みながら新聞を読む父の横顔。
湯呑みを持つ手は大きく、少し荒れていた。
その手が、黙って家族を支えていたのだと、今ならわかる。
言葉がなくても、そこにいるだけで、家は成り立っていた。
陽だまりに立ちながら、そんな父の姿を思い出す。
寒さと温かさが同時に存在するこの感覚は、どこか家族の記憶に似ている。
すべてを語らなくても、確かに伝わっていたもの。
それが、今の自分を支える土台になっている。
明るい気持ちになる言葉:
静かな愛は、今も確かに残っている
