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母の台所、昭和の冬

母の台所、昭和の冬
冬の朝の台所は、とにかく寒かった。
流しの金属に触れると、指先が一瞬で冷える。
それでも母は文句ひとつ言わず、黙々と朝食を作っていた。

ガスコンロの火、湯気、鍋の音。そのすべてが、昭和の生活そのものだった。

母はよく、「冬はね、家の中をちゃんと暖かくしないと、人の気持ちまで冷えるんだよ」と言っていた。その言葉の意味が分かるようになったのは、ずっと後になってからだ。

湯たんぽを作るのも母の役目だった。
厚手の布に包み、布団の足元へ入れる。その一連の動作が、まるで儀式のように丁寧だった。

布団に入った瞬間、じんわりと広がる温もりは、母の手そのものだった気がする。

外は吹雪でも、家の中には確かな秩序と温度があった。
昭和の生活は不便だったかもしれないが、無駄はなかった。
人の手が、すべてをつないでいた。

今日の寒さの中で、その台所を思い出すと、不思議と心が落ち着く。
母の背中は、今も自分の中で、静かに台所に立ち続けている。

明るい気持ちになる言葉
あの匂いが、今も帰る場所を教えてくれる。

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