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今日の出来事などを

今日の出来事などを

三角ベースに詰まっていた、ぼくたちの時間

三角ベースの野球場は、完成した瞬間がいちばん輝いていた。石を置き、位置を決め、全員がうなずいたとき。「よし、始めるぞ」その一言で、世界が切り替わる。ソフトボールは少し柔らかくて、思った通りに飛ばない。でも、その不安定さが楽しかった。完璧じゃ...
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バスと自転車と、少し遠回りの帰り道

移動に時間がかかることを、当時のぼくたちは不便だと思っていなかった。バスを待つ時間も、自転車で遠回りする帰り道も、全部が日常の一部だった。バスの中では、知らない大人の会話が聞こえてくる。自転車では、風の匂いが変わるのが分かる。徒歩なら、道端...
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バットを持つだけでヒーローになれた

昭和の道路には、ルールはあっても堅苦しさはなかった。車が来たら試合中断、それだけ。誰かが「くるぞー!」と叫べば、全員が自然と道の端に寄る。それが当たり前で、誰に教えられたわけでもない。三角ベースの野球場は、いつも即席だった。きれいなダイヤモ...
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道路がぼくたちの王国だったころ

昭和の子ども時代を思い返すと、まず浮かぶのは音だ。遠くで鳴るバスのエンジン音、自転車のブレーキがきゅっと鳴る音、そして裸足で道路を走るときの、アスファルトのひんやりした感触。移動手段は、バスか自転車か、あとは自分の足。それが当たり前だった。...
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心の雪景色は、凍える日常を温めるためのお守り。

春になれば雪は溶け、山は土の色に戻る。けれど、私の中のあの冬は、いまだに真っ白なままだ。忙しい日々に追われるとき、ふとあの景色が浮かぶ。風の音。スキー板が雪を削る音。友だちの笑い声。そして、母の作ったおにぎり。あの頃は、未来の不安などなかっ...
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『自分で立て』という、一番あたたかいエール

スキーは簡単ではなかった。最初は思うように止まれず、転んでは雪に埋もれた。顔に雪をかぶり、冷たくて涙が出そうになったこともある。けれど、不思議と泣かなかった。なぜなら、周りもみんな転んでいたからだ。「大丈夫か?」と声をかけ合い、手を引き合っ...
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スキー板より重かった、掌(てのひら)の百円玉

スキー遠足の楽しみは、実は前日から始まっていた。母から渡された百円玉。それをぎゅっと握りしめ、私は近所のお店へ向かった。北海道の冬道は固く踏み固められ、靴の裏がきゅっきゅっと鳴る。吐く息は白く、胸の中はわくわくと熱い。店の扉を開けると、灯油...
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『楽しい』だけで生きていた、あの贅沢な冬の話

冬の北海道は、音まで凍る。朝、家を出た瞬間、鼻の奥がツンとするあの冷たい空気。吐く息が白く広がり、「今日はスキー遠足だ」と胸が弾んだ。学校に着くと、校庭はまだ薄暗く、雪がきらきらと光っていた。スキー板を抱えた友だちの顔は、みんな赤くて、期待...