
家の近くには、石炭の灰を置く場所があった。
しばらくすると、灰を集めに来るおじさんが現れる。
大きなそりを引いて、ゆっくりとやって来る。
そりの上には、すでにいくつもの灰が積まれている。
私は友だちと顔を見合わせ、こっそり後をついていく。
おじさんは多くを語らない人だったが、私たちがついていくことを止めることもなかった。
そりが雪の上を滑る音。石炭の灰の、少し湿った匂い。
冬の空気は冷たいのに、その光景はどこか温かかった。
子どもの私は、それが特別な仕事だとは思っていなかった。
ただ「ついていくのが楽しい」という、それだけだった。
だが今思う。
あのおじさんがいたから、町は整い、暮らしが回っていたのだと。
名も知らぬ働き手たちの背中に、昭和の生活は支えられていた。
あの静かな背中を、私は今でも尊敬している。
明るい気持ちになる言葉:
誰かの働きが、今日の暮らしを支えている。

