
給食の時間が近づくと、教室の空気がどこか浮き立ってくる。
廊下から運ばれてくる食缶の音、給食当番の足音。
そしてトレーの上に置かれる、ふわっとしたコッペパン。
小麦のやさしい香りが広がる。
その瞬間、「ああ、給食の時間だな」と胸が温かくなる。
コッペパンは、とても素朴なパンだった。
でもその素朴さが、子どもの私にはちょうどよかったのだと思う。
スープと一緒に食べたり、おかずをはさんで食べたり。
みんなそれぞれの食べ方をしていた。
今考えると、あの自由な食べ方が楽しかったのかもしれない。
私はまずコッペパンを真ん中から少し割る。
そこにおかずのコロッケをはさんでみる。
友達の真似をして作った「コロッケパン」だ。
ちょっとつぶれてしまうけれど、それでも嬉しくて、
ひと口かじるとサクッとした衣とパンのやさしい味が広がった。
「それいいな!コロッケパンじゃん!」
「やってみる?」
「俺も作ろう!」
そんな小さな工夫をしながら、みんなで笑っていた給食の時間。
コッペパン一つでも、あの頃の教室には楽しみがいっぱい詰まっていた。
明るい気持ちになる言葉:
何気ない毎日が、あとから宝物になる。

