
昭和の道路には、ルールはあっても堅苦しさはなかった。
車が来たら試合中断、それだけ。
誰かが「くるぞー!」と叫べば、全員が自然と道の端に寄る。
それが当たり前で、誰に教えられたわけでもない。
三角ベースの野球場は、いつも即席だった。
きれいなダイヤモンドなんていらない。
ソフトボール一つあれば、野球ごっこは成立する。
ルールも曖昧、アウトかセーフかで揉めることもあった、最終的には誰かが笑って終わる。
バットとグローブを持っている少年は、なぜか堂々としていた。
特別うまいわけじゃない。
でも「持っている」という事実だけで、一歩前に出られた。
ピッチャーで4番。その言葉には、子どもたちなりの憧れと敬意が詰まっていた。
今思うと、あれは野球の技術じゃなかった。
「前に出る勇気」を、あの道路で教わった気がする。
失敗しても笑われるだけ。
また次がある。そんな空気が、確かにあった。
明るい気持ちになる言葉:
「勇気は、最初は小さくていい」

