
昭和37年、私は小学4年生だった。あの頃の放課後は、今思えば宝箱のような時間だった。
特に夢中になったのが「忍者ごっこ」だ。
テレビの中、黒装束の忍者が屋根走り、敵の目をかいくぐる姿を見た、胸の奥が熱くなった。
あれは憧れだった。強さというより、静かで、影のように生きる姿に惹かれたのだと思う。
家に帰ると、新聞紙を何枚も重ねて、手裏剣を作った。
折り目を丁寧に合わせ、角を鋭く見せるために何度も折り直した。
完成したときのうれしさは、今のどんな高価な物よりも価値があった。
近所の空き地が、ぼくたちのお城だった。
草むらは森、石垣は城壁、物干し台は見張り台になる。
誰かが「敵が来たぞ!」と叫ぶだけで、世界は一瞬にして戦国時代に変わる。
あの頃のぼくは、本気で風の音を聞いていた。
本気で気配を感じていた。真剣だった。遊びに一切の妥協がなかった。
今振り返ると、あれは単なる遊びではなかった。
想像力を全力で使う訓練だったのだと思う。
目に見えないものを信じる力。ないものを創り出す力。
年月を重ねるほど、その記憶は心の深いところで温かく光り続けている。
明るい気持ちになる言葉:
どこへでも行ける、何にでもなれる。想像力は、魔法より自由だ。

