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スクリーンの裏側は、不思議な特等席だった。

スクリーンの裏側は、不思議な特等席だった。
どうして人は、裏から観ても笑えるのだろう。

白い大きなスクリーンの裏に回り込み、映像を見つめる人たち。
私はそれが不思議で、面白くて、何度も振り返った。

もしかすると――
みんな映画そのものより、「一緒にいる時間」を観ていたのかもしれない。

あの時代、テレビはまだ珍しかった。
映画は特別だった。

だが、本当に特別だったのは、
見知らぬ人同士が同じ場面で同じように笑い、同じように息を飲む、その一体感だった。

夜風が涼しくなり、蚊取り線香の匂いが漂う。
遠くで誰かが「始まるぞー」と声を上げる。

私は妹と弟の間に座り、少しだけ胸を張っていた。
守っているつもりだったが、実は守られていたのは私のほうだったのだと思う。

あの白いスクリーンは、ただの布だった。
けれど、そこには夢が映っていた。

スクリーンの向こう側には、物語と一緒に、この町の確かな温もりが映り込んでいた。

明るい気持ちになる言葉
👉「今ならわかる。不格好なはずの思い出は、裏から見ても、あんなに輝いている」

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