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曇りガラスの向こう側

曇りガラスの向こう側
まだ夜明け前の薄暗い道を、新聞配達のために自転車で走らせていると、角にある小さな駄菓子屋の前を通った。

昭和の頃から変わらぬその店は、木枠のガラス戸を閉めたまま、
静かに朝を待っている。開店は朝十一時ごろ。今はまだ、店も眠っている時間だ。

ガラスは少し曇り、内側の棚がぼんやりと透けて見える。
吊るされたお菓子の袋、丸い瓶に入った飴玉。

誰もいないのに、その向こうには子どもたちのにぎやかな声が重なって聞こえてくる気がする。

あのガラス戸をガラガラと開けるときの音、足元のきしむ床の感触。
どれも遠い記憶なのに、なぜかはっきり思い出せる。

私は小銭を握りしめ、胸を弾ませながらあの戸を開けていた。

まだ閉まっている店の前で立ち止まり、冷たい朝の空気の中でしばらく見つめてしまった。
何も動いていないのに、心の中だけが静かににぎわっていた。

明るい気持ちになる言葉
懐かしさは、心をあたたかくする灯り

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