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雪とほうきの放課後

雪とほうきの放課後
北海道の冬は、今思い出しても胸の奥がきゅっと澄んでくるような冷たさでした。
小学五年生だったあの頃、放課後の掃除当番は、子ども心には少し面倒で、それでもどこか誇らしい時間でした。

外は一面の雪景色。
窓の外に広がる白さを横目に、私たちは教室に残ってほうきを手にしていました。

石炭ストーブの熱がほんのり残る教室には、チョークの粉の匂いと、濡れた長靴のゴムの匂いが混ざっていました。

私は床の担当で、友達の正一は後ろのロッカー担当。
ほうきを動かすたびに、床板の目に詰まったほこりが小さく舞い上がります。

正一はわざと大げさにため息をついてみせて、「大人になったら掃除のない仕事につく」と言って、みんなを笑わせました。

けれど私は、掃除が嫌いではありませんでした。
皆が帰った教室は静かで、さっきまでの授業の声がまだ壁に残っているような気がしました。

机を整え、黒板を拭き、床をきれいにすると、教室が「ありがとう」と言ってくれているように感じたのです。今思えば、あの頃の私は、役に立つことがうれしかったのでしょう。

窓の外では雪がしんしんと降り続き、帰る頃には足跡がすぐに消えてしまうほどでした。
それでも、まるで宝物を抱えているかのように、掃除を終えた教室を振り返って帰りました。

あの小さな責任感が、今の私の芯のどこかを作っている気がします。

明るい気持ちになる言葉
小さな役目が、大きな思い出になる

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