
冬の朝の通学路は、吐く息が白く、道ばたの草は霜で真っ白になっていた。
足元をよく見ると、土の上に細い氷の柱がびっしりと立っている。
霜柱だ。それを見つけると、わざと遠回りしてでも踏みに行った。
ザクッ、ザクッと心地よい音がして、足の裏に冬が伝わってくる。
手袋をしていても指先は冷え、ランドセルの肩ひもが少し硬く感じられた。
道端の家の煙突からは白い煙が上がり、どこかの家では豆炭あんかの匂いが漂っていた。
自転車に乗ったおじさんが「おはよう」と声をかけてくれると、それだけで少し元気が出た。
昭和の朝は、近所の人とのささやかな挨拶が当たり前に交わされていた。
校門が見えてくるころには、冷えていた体も歩いたおかげで少し温まっている。
友達と合流すると、手をこすり合わせながら他愛ない話で笑い合った。
寒さに肩をすくめながらも、心はどこか弾んでいた気がする。
冬の通学路は、ただの道ではなく、小さな冒険の舞台だったのだ。
霜柱を踏んだあの感触を思い出すと、今でも胸がきゅっと懐かしくなる。
何気ない朝の出来事が、こんなにも大切な記憶になっていることがうれしい。
明るい気持ちになる言葉:
「小さな発見が、心を弾ませてくれる」

