
昼が近づくと、台所から聞こえてくる音が少しずつ増えていく。
鍋に火が入り、包丁がまな板に当たるリズムが、家の中に穏やかな生活の気配を広げていく。
台所に立ち、料理をしているのは妻だ。
今日は鶏がらでだしを取り、大根を入れたスープを作ってくれている。
立ちのぼる湯気とともに、やさしい香りが部屋に満ちていく。
その匂いを感じるだけで、胸の奥がほっと緩む。
こうした何気ない昼食が、どれほど日々を支えてくれていたのか、年末になってようやく深く実感する。今年も多くを語らず、黙々と食卓を整えてくれた妻の背中が、思い浮かぶ。
スープを口にすると、身体の内側から静かに温まっていく。
派手さはないが、確かに心に残る味だ。
忙しい日も、気持ちが沈んだ日も、この温もりに何度助けられてきただろう。
言葉にしきれなかった感謝が、湯気と一緒に胸に広がっていく。
来年も、こうした時間を大切にしたいと思う。
当たり前のようでいて、決して当たり前ではない日常。
その尊さを忘れずに過ごしていけたら、それだけで十分に幸せな一年になるはずだ。
明るい気持ちになる言葉:
「支え合う温もりは、一年を越えて続いていく」
