
日が傾くのが早い冬の夕方、外の空気は一段と冷たくなる。
遊びから帰ると、家の中にはみかんの皮の匂いとこたつのぬくもりが待っていた。
昭和のこたつは木枠が重く、布団も分厚かった。
電源を入れると、赤いヒーターの光がぼんやりと灯る。
足を入れた瞬間、冷えきった体がほっと緩む。
家族は自然とこたつのまわりに集まった。
父は新聞を広げ、母は編み物をし、私は宿題をするふりをしながらテレビを気にしていた。
チャンネルを回すたびにカチカチ音がして、画面には少しざらついた映像が映る。
それでもみんな同じ番組を見て、同じところで笑っていた。
みかんの皮をむくと、細かな汁が指に飛び、甘い香りが広がる。
こたつの上には湯のみが並び、湯気がゆらりと立つ。
外は寒く暗くても、こたつの中だけは別世界のように穏やかだった。
何気ない会話、くだらない冗談、そのひとつひとつが心を満たしてくれた。
あの夕暮れの時間は、特別な出来事があったわけではない。
それでも、家族が同じ温度の中で過ごしたあのひとときは、今思い返しても胸がじんわり温かくなる大切な宝物である。
明るい気持ちになる言葉:
「同じ場所で笑えることが、いちばんの幸せ」

