
月明かりに背中を押されて歩く朝。
5時30分、まだ外は暗いが、眠りから覚める感覚は穏やかだった。
月曜日は不燃ごみの集積日だ。
台所に置いてあった袋一杯のゴミを手に取り、静かに玄関を出る。
昨日の雨で道路はまだ濡れているが、足元を取られるほどではない。
ただ、油断は禁物だ。
リハビリテーション病院を退所する際、何度も言われた「転ばないこと」という言葉が、今も胸の奥に残っている。骨折が一番多い、だから慎重に、と。
その言葉を思い出し、今日は杖を支えに持って歩く。
集積所まではおよそ200歩ほど。
往復で10分ほどの距離だが、今の自分にとっては立派な運動でもある。
街灯の明かりと、雲の切れ間から差し込む月明かりが、道をやさしく照らしてくれている。
夜明け前の静けさの中、自分の足音だけが小さく響き、それがかえって心を落ち着かせてくれる。
無事にゴミを出し終え、同じ道をゆっくりと戻る。
少しだけ息が上がり、背中にうっすらと汗を感じた。
家に入ると下着を替え、洗顔をしながら汗を拭う。
温かなお湯が頬に触れた瞬間、頭がすっと冴え、気持ちまで洗い流されたような感覚になる。
昨日より気温はかなり低いようだが、不思議と寒さは感じない。
体が動いたあとの血の巡りのおかげだろうか。
それとも、こうして自分の足で歩けたことへの安心感が、心を温めてくれているのかもしれない。今日の天気予報は晴れ。月曜日の始まりとしては、静かで、悪くない朝だと思えた。
明るい気持ちになる言葉:
一歩一歩を大切に歩けば、朝はちゃんと味方してくれる。

