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漬物のある食卓

漬物のある食卓
夕方になると、台所から漂ってくるのは、味噌汁の湯気と、漬物の香りだった。
食卓に並ぶ料理は決して豪華ではなかったが、母の漬物が一品あるだけで、不思議と食事が豊かに感じられた。

干し大根を使ったたくあんは、ほどよい塩気と甘みがあり、白いご飯によく合った。

父は無口な人だったが、漬物を口にするときだけは、「よく漬かってるな」と一言つぶやいた。
その短い言葉に、母は小さく微笑み、また次の仕事へと動き出す。

そんな何気ないやりとりが、昭和の我が家の夕餉の風景だった。

食卓を囲む時間は短くても、そこには確かな安心があった。
テレビの音、箸が器に当たる音、外で鳴く風の音。
そのすべてが混ざり合い、今では戻ることのできない、温かな記憶として心に残っている。

あの漬物の味は、もう二度と同じものを食べることはできない。
それでも、思い出すだけで心が満たされるのは、味そのものよりも、そこに流れていた家族の時間が、今も私の中で息づいているからなのだろう。

明るい気持ちになる言葉
「ささやかな一皿が、家族の時間をつないでくれる」

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