
昭和三十六年の冬は、今思い返しても、しんと静かな白さに包まれていた気がする。
朝、学校へ向かう道は、まだ誰の足跡もついていない雪に覆われていて、歩くたびにきゅっ、きゅっと鳴る音がやけに大きく感じられた。
吐く息は白く、鼻の奥がつんと痛むほどの冷たさだったけれど、不思議と心は弾んでいた。
その日の体育は、校庭での雪合戦だった。
先生が「今日は思いきり体を動かすぞ」と言うと、教室は一瞬でざわめきと歓声に包まれた。
校庭へ出ると、一面の雪景色が広がり、見慣れた場所がまるで別の世界のように見えた。
雪を握ると、手袋越しでも冷たさが伝わり、指先がじんじんとした。
学校から帰って妹や弟、そして近所の遊び友達と、自然と二組に分かれて雪合戦が始まった。
最初は遠慮がちに投げていた雪玉も、だんだんと勢いを増し、気づけば、本気で走り回る。
雪玉がからだに当たるたび、冷たさよりも笑いが先にこみ上げた。
転んで服が濡れても、顔に雪が当たっても、誰一人怒らない。
ただ、笑って、また立ち上がって、次の雪玉を握る。
あの時間には、勝ち負けよりも大切なものが確かにあった。
寒さの中で、友達やきょうだいと心を通わせる温かさ。
それは、今の私の胸の奥にも、静かに灯り続けている。
明るい気持ちになる言葉:
寒さの中にも、心を温める時間がある

