
年の瀬になると、愛犬コロのことを思い出す。
新聞配達で稼いだお金から、コロには少し美味しいものを用意した。
当時はドッグフードなどなく、ご飯にみそ汁をかけた食事が当たり前だった。
それでも、私はこっそり煮干しをあげたり、ソーセージを買ったり、
肉屋で豚の骨を一本もらってきて、茹でて食べさせていた。
コロは教わりもしないのに、全部を食べないで骨の残りを土に埋める。
鼻を上手に使って土をかけ、鼻の上に土を残したまま戻ってくる姿が、
可笑しくて、愛おしくてたまらなかった。
本当にそばにいるだけで、毎日が楽しかった。
言葉は通じなくても、心は確かにつながっていた。
この一年、人との距離や、言葉の重さについて考えることが多かった。
だからこそ、あの無条件の温もりが、今も胸を支えてくれている。
失ったものは戻らない。
けれど、記憶は消えず、今の自分を静かに支えている。
今年を無事に終えられるのは、あの頃の温もりが、心の奥に残っているからだ。
また新しい年が始まる。
可愛いコロが教えてくれたように、
ただそばにいることの価値を忘れずに、日々を重ねていきたい。
明るい気持ちになる言葉:
小さな存在が、人生を豊かにしてくれる
