PR
スポンサーリンク

凍える朝、眠りの底で触れた安らぎ

凍える朝、眠りの底で触れた安らぎ
六時、まだ夜の名残を抱えた薄暗さの中で目が覚めた。
起きようと思えば起きられるが、身体はまだその時を望んでいない。

そんな感覚が、今の自分にはよく分かる。
若い頃なら無理にでも起き出していただろうが、今はその「無理」が心と身体を少しずつ削っていたことを知っている。

布団の中で足首をゆっくり動かす。
円を描くように、呼吸に合わせて。
ぎこちなさはまだ残るが、以前ほどの不安はない。

動かすたびに、冷えた身体の奥からわずかな温もりが立ち上がってくる。
その感覚を確かめるように、何度も繰り返した。

やがて、意識がふっと遠のく。
眠ろうと決めたわけではない。
ただ、心が静かに沈んでいった。

再び目を開けた時、時計は七時四十分を指していた。
久しぶりに「よく眠れた」とはっきり言える朝だった。

頭の中の霧が晴れ、世界がくっきりと輪郭を取り戻している。

洗面所で蛇口をひねると、水は一滴も出なかった。
外の水道管が凍っているのだと、すぐに理解した瞬間、胸の奥に小さな不安が広がる。

水が使えない。それは生活が止まるということだ。
けれど、不思議と心は荒れなかった。

よく眠れたこと、その余韻が、凍った現実を柔らかく包んでくれていた。
冬の厳しさの中でも、眠りという救いがある。その事実を、静かに噛みしめた朝だった。

明るい気持ちになる言葉
深く眠れた朝は、心に静かな余裕を残してくれる。

タイトルとURLをコピーしました