
冬の通学路は土の道だった。霜柱が立ち、踏むとしゃりっと音がする。
はその道を、牛革のランドセルを背負って歩いた。
中に入っているのは教科書と筆入れだけ。それでも肩にかかる重みは十分だったという。
新しい牛革は硬く、歩くたびにきゅっときしんだそうだ。
その感触が背中越しに伝わり、「今日も学校へ行くのだ」と気持ちを引き締めたらしい。
余計な物が入っていないからこそ、ランドセルの中身はいつも整っていた。
教室の後ろの棚には、黒い牛革のランドセルが並んでいた。
中身は皆ほとんど同じ。違うのは、使い込まれた傷の位置や革の柔らかさだけだった。
それぞれの家庭の時間が、静かに染み込んでいたのだろう。
石炭ストーブの周りに集まりながら、子どもたちは教科書を開く。
学ぶことが当たり前ではなかった時代、その一冊一冊が貴重だった。
ランドセルの中が質素だったぶん、心の中には大きな希望が詰まっていたのかもしれない。
重みを背負いながらも、父は前を向いて歩き続けた。
明るい気持ちになる言葉:
今日も一歩、前へ

