
昼前、病院へ向かう準備をしていると、妻がそっと声をかけてきた。
「今日は脳神経内科だよね。緊張してる?」
「少しだけ。でも、行ってみないと分からないからね」
そう答えると、妻は小さくうなずいた。
夜中、私が激しく体を動かしていることに気づいたのは妻だった。
「最初は、夢でも見てるのかなって思ったの。でも、何度も続くから…」
その話を聞いたとき、私は何も言えなかった。眠っている間の自分のことを、こうして誰かが心配し続けていた事実が、胸に重くのしかかった。
病院の待合室で順番を待ちながら、
「結果、どうでもさ。少し安心できたらいいよね」
と妻が言う。
「そうだね。君が心配しなくて済むなら、それが一番だ」
そう返すと、妻は少し笑った。
診察を終え、検査や薬の説明を聞いたあと、
「これで夜、少しでも落ち着いて眠れたらいいね」
と妻が言った。その言葉に、私は深くうなずいた。
自分の体のためでもあるが、それ以上に、妻の不安を減らすための一歩なのだと、はっきり感じていた。
明るい気持ちになる言葉:
「心配し合える関係が、安心を育てる」
