
朝食を終えたあと、テレビの電源を切り、部屋に静けさを取り戻した。
情報があふれる時代だからこそ、意識して音を断つ時間が必要だと感じる。
インスタントではあるが、ブラックコーヒーをゆっくりと淹れ、湯気と香りを楽しみながら椅子に腰を下ろす。
その手に取ったのは、平井和正さんの「犬神明」。
この一冊で、長年読み続けてきた平井和正作品を、すべて読み終えることになる。
ページをめくるたびに、これまで読んできた数々の物語や登場人物たちが、頭の中で静かによみがえってくる。
本を読み終えるという行為は、単なる「完読」ではなく、一つの人生の区切りのようでもある。
静かな昼の時間に、コーヒーと本だけがそばにある。
この何気ない時間が、どれほど贅沢なものかを、今はよく分かっている。
明るい気持ちになる言葉:
静かな時間を味わえる心がある限り、人生は豊かでいられる。

