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セピア色の記憶:駄菓子の匂いと、忘れがちな勇気について

セピア色の記憶:駄菓子の匂いと、忘れがちな勇気について
町内会の集まりの帰り道、私たち三人は必ず駄菓子屋に寄った。

ガラス戸を引くと、カランと鈴が鳴る。
甘い匂いと少し古い木の匂いが混ざって、あの店だけ時間が止まっているようだった。

私はいつも、何を買うか決めきれずに棚の前で固まる。
10円、20円、30円。

10円の重みを知っていたあの頃、僕たちは小さな掌(てのひら)の中で、精一杯の世界を組み立てていた。

妹は即決型。弟は全部欲しがる型。
私は「長男だから」と理由をつけて冷静を装うが、本当は一番迷っていた。

おばちゃんは何も急かさず、ガラス戸の奥から静かに見ている。
しわの刻まれた目尻に、言葉以上の優しさが滲んでいた。

大人になった今も忘れない。あの数十円に賭けた、真剣そのものの私を。

限られた中で最善を尽くすこと。欲に溺れず、かといって自分を殺しすぎない。
それが私の学んだ『足るを知る』一歩だった。

人生はあの駄菓子屋の棚と似ているのかもしれない。
全部は手に入らない。でも、ちゃんと選べば満足できる。

今思えば、あの30円こそが私の人生最初の投資だった。
格別な美味しさと引き換えに、私は『踏み出す勇気』を手に入れたのだから。

明るい気持ちになる言葉
心のサイズは、挑んだ数だけ広がっていく。

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