みらい

今日の出来事などを

雑巾しぼり競争

掃除当番の中でも、いちばん賑やかだったのは雑巾がけの時間でした。水道は廊下の端にあり、冬は水が氷のように冷たく、指先がすぐ真っ赤になりました。それでも私たちは、その冷たささえ遊びにしていました。「誰がいちばん強くしぼれるか競争だ!」と始まっ...
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雪とほうきの放課後

北海道の冬は、今思い出しても胸の奥がきゅっと澄んでくるような冷たさでした。小学五年生だったあの頃、放課後の掃除当番は、子ども心には少し面倒で、それでもどこか誇らしい時間でした。外は一面の雪景色。窓の外に広がる白さを横目に、私たちは教室に残っ...
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受け継がれる、質素という豊かさ

この牛革のランドセルは、もう誰かが学校へ背負っていくことはない。それでも手放せないのは、その質素な中身にこそ、時代の豊かさがあったと気づかせてくれる。教科書と筆入れだけ。けれどその二つには、学ぶことへの真剣さと、家族の支えが詰まっていた。余...
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牛革の匂いと静かな放課後

ランドセルを開くと、ふわりと牛革の落ち着いた匂いが広がる。中は驚くほどすっきりしている。父の話の通り、教科書と筆入れだけを入れていた時代の名残のように、仕切りも飾りもない。父は放課後、家に帰ると土間にランドセルを置いたという。中身はその日の...
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霜の朝と背中の教科書

冬の通学路は土の道だった。霜柱が立ち、踏むとしゃりっと音がする。はその道を、牛革のランドセルを背負って歩いた。中に入っているのは教科書と筆入れだけ。それでも肩にかかる重みは十分だったという。新しい牛革は硬く、歩くたびにきゅっときしんだそうだ...
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牛革の黒いランドセル

押し入れの奥から取り出した黒いランドセルは、静かな存在感を放っていた。表面の牛革は長い年月を経て柔らかさを増し、光の当たり方で深い艶を見せる。縁の擦れや細かな傷は、父が歩んだ昭和の時間そのもののように思えた。これは父が子どもの頃、父の祖父が...
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夕暮れの湯気と家族の時間

日が傾くと、雪の世界は急に静かになる。空は群青色に変わり、家々の煙突から細い煙が立ち上る。わが家の台所では、母が大きな鍋で味噌汁を温め、湯気が窓ガラスを曇らせていた。仕事から戻った父は、玄関で長靴の雪を落とし、冷えた手をこすり合わせながら居...
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長靴のまま駆けた校庭

学校へ着くころには、耳の感覚はすっかりなくなっていた。それでも教室の石炭ストーブの匂いを嗅ぐと、ほっと身体がゆるむ。鉄の円筒の上では、給食当番がやかんを置き、湯気が立っていた。あの少し焦げたような石炭の匂いは、冬の学校そのものだった。休み時...