
長男として、どこかで「我慢しなきゃ」と思っていた。
でも本当は、妹や弟と同じように甘えたかった。
焼きたてのおにぎりを頬張るときだけは、その気持ちがほどけた。
半分に割ったおにぎりを妹や弟に渡すと、心が満たされた。
自分の分が減るのに、なぜか嬉しかった。
きっと「家族で食べる」ことが何より大切だったのだ。
あの経験が、私の中の優しさの種になったのかもしれない。
湯気の立つおにぎりをふうふう冷まし、そっと割る。
中から白いご飯が顔を出す。
私はそれを妹に渡し、弟の頭を軽くなでる。
母はその様子を、少し離れたところから静かに見ている。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「いいよ。半分こな」
母がぽつりと言う。
「優しいお兄ちゃんね」
その一言が、何よりのご褒美だった。
明るい気持ちになる言葉:
分け合えば、幸せは倍になる。
