
泳げなくなった自分が、少し悔しかった。
友だちは川面をすいすい進む。
私は浅いところで、潜ってばかりいた。
水の中にいるときだけ、安心できた。
そこは静かで、誰にも押さえつけられない世界だった。
光が揺れ、川底の石が優しく見守ってくれているようだった。
「なんで俺は泳げないんだろう」
何度も思った。でも、誰にも言わなかった。
男の子は強くなければならない、という空気があった時代だ。
弱音は飲み込むものだった。
しかし今振り返ると、私はあのとき、自分の心を守る方法を自然に選んでいたのかもしれない。
無理に水面に出なくてもいい。潜ることが得意なら、それでいい。
人生も同じだ。みんなが同じ形で前に進まなくていい。
あの川は、私にそんなことを教えてくれていたのだと思う。
明るい気持ちになる言葉:
弱さは、私を照らす、もうひとつの光。

