
小学5年生の私は、大相撲に夢中だった。
今思えば、どうしてあんなにも胸が高鳴っていたのか、不思議なくらいだ。
当時は「柏鵬時代」と呼ばれていた。横綱・大鵬と横綱・柏戸。
世の中の大人は「やっぱり大鵬は強い」と言っていたが、私は断然、柏戸を応援していた。
理由なんてうまく説明できない。ただ、土俵に上がる姿が好きだった。
鋭い目つき、四股を踏む力強さ、少し不器用そうな雰囲気。
なぜか心が引き寄せられた。
午後になると、そわそわした。「もうすぐ取り組みだ…」
テレビの前に正座して、家族の声も耳に入らないほど集中する。
立ち合いの瞬間、思わず拳を握りしめる。
柏戸が勝った日は、胸の奥がぱっと明るくなった。
負けた日は、まるで自分が土俵で押し出されたように悔しかった。
たった数十秒の勝負。
でも、あの時間は、子どもの私にとって世界のすべてだった。
あの頃の私は、純粋だった。
勝ち負けに一喜一憂し、真っ直ぐに応援していた。
夢中になれるものがあるというのは、なんと幸せなことだったのだろう。
明るい気持ちになる言葉:
白黒テレビの前に座れば、私はいつでも主人公になれた

