
忍者ごっこは、ただのごっこ遊びではなかった。
ぼくたちは本気だった。
木に登り、塀をよじ登り、草むらを転がった。
帰るころには膝は泥だらけ、ズボンは破れ、母に叱られるのがお決まりだった。
それでも、心は満たされていた。
あの破れたズボンは、ぼくにとって勲章だった。戦い抜いた証だったのだ。
忍者の役割も自然と決まっていった。足が速い友達は「飛脚忍者」。
頭の回転が速い子は「策士」。
ぼくはというと、どちらかといえば“忍ぶ”役が多かった。
静かに隠れ、最後まで見つからない役回りだった。
当時は地味な役だと思ったこともある。
でも今考えると、あれが自分らしさだったのかもしれない。
派手ではないが、じっと観察し、タイミングを待つ。
大人になった今の性格と、どこか重なる。
遊びは、その人の素質を映す鏡だと今ならわかる。
母に叱られながらも、内心では少し誇らしかった。あの頃のぼくは、全力で生きていた。
明るい気持ちになる言葉:
泥と、傷と、破れたズボン。これこそが僕を形作った原点だ。
