
もらった鉛筆は、すぐには使わなかった。
机の引き出しの奥にしまい、時々取り出しては眺めた。
金色の文字を指でなぞるたびに、あの日のスタートラインが蘇った。
やがて、私はその鉛筆で初めて作文を書いた。
「運動会の思い出」という題だった気がする。
ぎこちない文字で、「三位でも嬉しかった」と書いた。
今思えば、あれが自分の気持ちを文章にした最初の体験だったのかもしれない。
鉛筆は短くなり、最後は親指ほどの長さになった。
それでも、最後まで使い切った。
芯が折れるたびに削りながら、「頑張れば、形が残る」と信じていた。
大人になった今、あの鉛筆はもう手元にない。
それでも、心の中にははっきりと残っている。
結果よりも、努力の時間こそが宝物だという感覚。
一本の鉛筆は、私に「続けること」の意味を教えてくれた。
三位の価値は、時間が経つほどに輝きを増している。
明るい気持ちになる言葉:
小さな『嬉しい』が、折れない心をつくる。

