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何でもない一日が、心に残る理由

何でもない一日が、心に残る理由
「今日」という言葉は、あのころの私にとって、ただの一日だった。

朝起きて、学校に行って、帰ってきて、ごはんを食べて、眠る。
それが「今日」だと思っていた。

でも、今思い出す「今日」は、少しちがう。

ランドセルを放り投げて、玄関で靴をそろえなかったこと。
「手を洗いなさい」と言われて、返事だけして洗わなかったこと。

台所から聞こえる母の声と、鍋のふたが当たる音。
夕方のオレンジ色の光。

あのころの「今日」は、気づかないうちに過ぎていくものだった。
大切にしようなんて、思いもしなかった。

「明日」が楽しみで、
「今日」は早く終わってほしい日でもあった。

でも今、思い出の中に残っているのは、
特別な日よりも、何でもない「今日」だ。

何も起きなかった日。
笑った理由も、怒られた理由も、もうはっきり覚えていない日。

それでも、確かにそこにあった一日。

子どものころの「今日」は、
そのときには見えなくて、あとになって、やっと思い出になる。

「今日」は、過ぎてから、静かに大切なものに変わっていく。
私にとっての「今日」は、あのころの家の中に、今もそっと残っている。

明るい気持ちになる言葉
何気ない一日が、いちばん長く心に残り続ける。

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