
午後も遅くなると、光は一気に弱まり、部屋の中に長い影が伸びた。
その影を眺めながら、今日一日のことを振り返る。
大きな出来事は何もない。それでも、この一日が確かに自分の中に残っている。
水道から、かすかに水音が聞こえたとき、胸の奥がじんわりと緩んだ。
生活が少しずつ戻ってくる。その小さな変化が、こんなにも安心感をもたらすのかと驚く。
夕方という時間帯は、どこか心細い。
それは若い頃から変わらない。
けれど今は、その心細さを否定しない。
ただ、「そういう時間なのだ」と受け止められるようになった。
年を重ねるということは、感情をなくすことではなく、感情と共にいられる時間が増えることなのだと思う。
外の空は、静かに夜へと向かっている。
その移ろいを見つめながら、自分もまた、無理なく今日を終えようとしている。
明るい気持ちになる言葉:
夕暮れは、心を静かに抱きしめてくれる。

