
昼近くになると、朝の冷え込みが嘘のように、部屋の空気がやわらいできた。
暖房を切り、窓を少し開けて換気をする。
冷たい空気が一瞬入り込むが、すぐに心地よい温度に落ち着く。
この季節にしては珍しく、体が楽だと感じる時間帯だ。
昼食後、自然と本のことを考えていた。
好きな作家の作品はもちろんだが、話題作やラジオで紹介された本にも手を伸ばしてきた。
その中でも印象深いのが、住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』だ。
土曜日の久米明さんのラジオ番組で、その独特なタイトルが紹介され、感想を語る声に引き込まれ、すぐに読んだ。
青春小説と一言で片づけるには、あまりにも繊細で、静かな力を持った物語だった。
読み進めるうちに、登場人物の感情が自分の中に染み込んできて、ラストの場面では自然と涙がこぼれた。
若い頃とは違い、今だからこそ感じ取れる余白や切なさがあったように思う。
原作を読んだ後に、アニメや映画も観た。
表現の形が変わることで、同じ物語でも違う角度から心に触れてくる。
そのたびに、自分の中の感情も少しずつ形を変えていくのが分かる。
こうしてジャンルが広がっていく読書は、決して飽きることがない。
特に女性作家の作品には、静かな強さや優しさがあり、心に残るものが多かった。
明るい気持ちになる言葉
「本は、年齢を重ねた心にも新しい景色をくれる」

