便の正体
便には、栄養素が吸収された後のカスだけでなく
消化液、粘液や粘膜などの消化管から出てきたもの、古くなって腸壁から剥がれ落ちた細胞、不要なミネラル、腸内細菌が含まれています。
便の色
茶色系、黒色系、赤色系、緑色系、白色系
便は食べた物と全く違う色になって出てきます。
便の基本的な色が、胆汁色素と食べ物のカスによってつけられます。
胆汁色素とは、血液を赤く見せている、ヘモグロビンの残骸で、役割を果たしたヘモグロビンが、肝臓で分解され、胆のうから胆汁として分泌されたものに含まれている黄色い色素のことです。
これをビリルビンと呼んでいます。
ビリルビンの大部分が、便の主な色になります。
ビリルビンは、小腸の酸度によって色が変わり、腸内細菌の作用を受けて、何回も形や性質を変え、できています。
ビリルビンが腸に排泄されなくなると、便が白っぽくなってしまいます。
便の形・硬さ
コロコロ便、バナナ便、半練り便、ドロドロ便、泥水便
便の硬さや形を左右するのは水分量です。
健康な便には、通常70〜80%の水分が含まれていて、バナナの形や練り歯磨きくらいの硬さが理想です。
水分量が70%以下に減ると、便が硬くなり、便秘という障害が起こります。
逆に80%以上だと腸内で水分が、十分に吸収されないうちに、排泄されてしまい、下痢という症状が起こります。
便のにおい
あり、なし
便のにおいは、食べた物の種類と、腸の中でどんな腸内細菌が、活躍しているかによって決まります。
健康な便には、においがあまりありません。
色・形・硬さ・においの変化を見れば、体の中の状態が理解することができます。
排泄の仕組み
蠕動運動
口から入った食べ物は、便になるまでの長い道のりを自然に流れているのではありません。
各消化管の筋肉が、縮んでは伸び、伸びては縮を繰り返しながら、消化物を撹拌したり、先へ先へと送り出す動きをしています。
これを蠕動運動と呼びます。
大腸では、壁面に半月ヒダと呼ばれるくびれと、結腸膨起(けっちょうほうき)と呼ばれる膨らみがあります。
蠕動運動が起きると、水分を搾り取られながら移動していき、ドロドロだった消化物を固形物へと形成していきます。
便が出きるまで
食べた物は、胃や小腸で、消化・吸収されます。
食べ物は、口の中で細かく噛み砕かれ、胃や腸でなるべくたくさんの消化液と触れられるように表面積を広くします。
頬の内側から分泌される、唾液と食べ物が混ざり消化作業が行なわれ、胃へと送り込まれます。
胃
胃の役割は、消化と食べ物の一時貯蔵庫です。
消化物は、強酸性の消化液と筋肉の収縮運動によって消化され、ドロドロのかゆ状になって十二指腸に送り込まれます。
胃の壁に傷があれば、そこから出た血液が便に混ざり、潜血反応のもとになります。
十二指腸〜小腸(空腸・回腸)
十二指腸では、膵液や胆汁と混ざり合います。
膵臓や胆汁には、消化のみならず胃液によって、強酸性化したものを中和する働きもあります。
そうして、混ざり合ったものは、空腸や回腸へと送り込まれ、腸線から分泌される腸液の働きで食物の消化がすすみます。
空腸や回腸の粘膜には、絨毛(じゅうもう)と呼ばれる、毛のようなものが、びっしりと密生しています。
これは、消化物をできるだけ、広く接触し、十分に消化・吸収するためで、食べ物に含まれていた栄養の約80%が吸収されます。
吸収された栄養素は、腸の血管から、肝臓に運ばれ、化学的処理されたあと、体の各部分に送られ、大腸へ送られます。
大腸
大腸では、残りの水分を吸収し、主に便の形成を行います。
大腸の通過の時間は、数十時間かかります。
大腸に入った段階では、液体の状態ですが、水分は直腸へ進む間に吸収され便が形成されていきます。
大腸は大きく分けて、盲腸、結腸、直腸の3つに分けられます。
盲腸は、特に消化の役には立っていません。
結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸の4つから成り立っています。
最終的な消化・吸収が行なわれています。
上行結腸では半流動体、横行結腸ではかゆ状、下行結腸では半かゆ状、S状結腸では消化物は、固形化されます。
上行結腸に入った消化物は、蠕動運動によって移動しますが、横行結腸の少し前当たりから急激に強い蠕動運動が起こり、一気にS状結腸へと運ばれます。
S状結腸では便が形成され、直腸へと送り出されます。
排便
- 食物繊維
- 細菌
- 胃腸からの分泌物
- 未消化成分
- 剥離した粘膜細菌など
食べ物が便になるまで
口
- 食道 通過時間:固形物 約30〜60秒 液体物 1〜6秒
- 胃 かき混ぜられ、胃液で一部消化され、かゆ状になって送り出されるまでの時間約4時間。
- 十二指腸 胆汁や膵液によって、吸収されやすい形に分解。
- 腸(空腸・回腸) 本格的に消化され、ほとんどの栄養分が吸収される、約7〜9時間。
- 大腸(結腸)通過時間約25〜30時間。
- 水分が少しずつ吸収され、細菌による発酵が行なわれる。
- 蠕動運動などの大腸の基本運動によって運ばれ、古くなった腸の粘膜、腸内細菌の残骸などと混ざり合って固まり、便になっていきます。
- 大腸(直腸)ある程度の量になると排泄される。
肛門
血便が出る
血便は、体が発しているシグナル日頃から便の色にも注意して、血便を見逃さないようにしてください。
血便は、色によって出血している部位が異なります。
真赤な色の血が排便時に出るとか、便に混じるという症状がある場合その原因の最も多いのが痔。
肛門部からの出血ですから、その血液は真赤な色をしています。
痔の中でも特に出血があるのは、内痔核や裂肛(切れ痔)です。
内痔核は、肛門の内側の直腸粘膜上に、静脈がうっ血して、いぼのような膨らみができます。
そして、排便時の刺激で、ぽたぽたと出血することがあります。
内痔核からの出血は、持続性ではないのが特徴です。
排便時に血が出ることもあれば、出ないこともある場合は、内痔核が疑われます。
裂肛(切れ痔)は、固い便が通過することによって、肛門の一部に、裂創ができたもので排便時に痛みを伴います。
便に血が混じるという症状は、痔以外の病気によってもおこります。
大腸がんなど、重大な病気も考えられるので、痔だから心配ないなどと、自己診断し医師の診断を受けないのは、たいへん危険です。
内痔核だったとしても、同時にもっと重大な、病気を抱えていることもあります。
内痔核からの出血が、がんの出血を見逃しやすくしまうこともありますす。
こういったことを防ぐためにも、排便時の出血があったときには、必ず肛門科や消化器科などで、診察を受けてください。
消化器からの出血がある場合
消化器のどの部分で、出血したかによって、便に混じる血液の状態が違います。
赤い色の鮮血
肛門に近い大腸(下行結腸よりうしろ)で出血し、大腸がんや大腸ポリープなどが考えられます。
がん組織やポリープと、接触しこすれて出血します。
色あせた黒っぽい血液
盲腸から横行結腸あたりで出血しています。
有形便に血が混じる
大腸に炎症がおき、びらんや潰瘍ができ、粘血便(便に血液や粘液が混じったもの)を、起こす潰瘍性大腸炎や、口腔から肛門までの、全消化管を侵す、炎症性疾患であるクローン病大腸ポリープ、大腸憩室症などがあります。
大腸ポリープ
大腸の粘膜が、いぼのようにとびだしたものです。
ポリープには血管がたくさん集まっているので、腸の内容物や便にこすられて、これに傷がつくと、出血します。
大腸憩室症
大腸の内壁の一部が、外側に向かって飛出し、袋状になったものです。
普通は無症状ですが、憩室部に炎症や出血を、起こし血便となります。
下痢便に血が混じる
サルモネラや腸炎ビブリオなどの食中毒によるもの、赤痢などによります。
薬剤の使用で、起こる薬剤性腸炎などでもおこります。
タール便
小腸から上で出血した場合には、黒い色をした血便になります。
鼻をつくような、鋭い悪臭を放っているのが普通です。
真っ黒なタール便が、出るということはかなり大量の出血が、あったことを意味しています。
原因となる病気は、食道静脈瘤、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などです。
食道静脈瘤とは
肝硬変などが原因で起こる病気で、胃の噴門部と食道の静脈がしだいに拡張し、弱い部分が膨らんだ状態になったものです。
硬い食べ物を食べたり、せきをしたことが引き金になり、その部分が破れて大出血を起こすことがあります。
食道静脈瘤が破裂して、大出血が起こると確かにタール便が出ますが、この場合は口から、血を吐くのが普通です。
かなり大量の血を吐くため非常に危険です。
一刻も早く、病院で処置を受けなければなりません。
胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍 に原因がある場合
胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍で真っ黒なタール便が、出るときはかなり重症の可能性があります。
特に高齢者の胃潰瘍は、血管の多い胃の後壁にできやすいので、大量出血が起こることがあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍で、大量出血した場合にも吐血が起こります。
すぐに、消化器科での治療を受ける必要があります。
これらの出血でも、少量の出血でしたら褐色になります。
普通の便に近い色なので気づきにくいこともあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などは、空腹時や夜中にしくしくと痛んだり、焼けるような痛みが起こります。
十二指腸潰瘍では、空腹時に背中が痛むこともあります。
胃がんでは、胃の不快感、痛み、胸やけ、食欲不振などが現れます。
特にこのような症状がある人は、日ごろから便の色に注意し、血便を見逃さないようにすることが大切です。
注意
タール便と似たものに、貧血の治療などに用いられる、鉄剤やある種の下痢止め薬を服用したときに出る、黒い色の便があります。
これは、薬によって便が黒くなっているので、血便ではありません。
薬による黒色の便には、タール便のような悪臭はありません。
早期発見・早期治療
大腸がんなどの重大な、病気の初期症状は無症状のことが多く、血便が出ていても少量のため気づかないこともあります。
早期発見・早期治療のためにも、便の検査を受けましょう。
便の検査には、目にみえないような、血液でも発見できる便潜血反応という検査があります。
便に薬を混ぜて、血液が含まれているかいないかを調べます。
普通、人間の血液中のヘモグロビン(赤血球に含まれ、酸素や炭酸ガスを運ぶ色素)だけに反応する薬を使用するので(免疫便潜血検査)、結果は正確です。
血便を証明されたときは、再検査を勧められるはずです。
必ず受診をしてください。
早期発見、早期治療を行うために検査はかかせません。
40〜50歳代の人は、少なくとも年に1回は、便の検査を受けてください。
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